●50代のおっさんが包丁を砥ぎながら”砥ぎの失敗”を考える閑話。

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また、これから砥ぎを始める方々へ向けてのブログになってしまうなーと

思いながら書いている。 今回はおっさんの砥ぎの失敗談である。


おっさんの認識では、砥ぎの目的は道具としての刃を自分の使いやすい状態

に維持する事であり、かならずしも鋭利に切れる状態を目指す物ではないと

思っている。そんなおっさんも昔は斧から包丁まで全て同じ砥ぎ方をしていた。

間違いだと気が付くまで結構、長い期間を要したと思う。


最初の気づきは鉈や斧である。薪を割る為に、それこそ台所の包丁より切れる

状態にして薪に挑んだ。 当たり前だ!と言われそうだが、割れないのである。

薪割りに必要な刃は木の繊維に逆らわず繊維にそって食い込まないと駄目だ。

刺身でも切るのか?という刃で薪を割ろうとすると繊維を断ち切りながら

逆らって食い込んでしまう為、むしろ刃が無い方がましな位だ。 

片刃の鉈等は特に顕著である。同じ鉈でも枝打ちに使う場合と薪割りに使う

場合は全く別物の刃が必要だと、この時やっと理解した。


剪定鋏もそうである。剪定鋏は受け刃と切り刃で構成されている。

決して砥いではいけない面が有る事を知らずに平に砥いでしまい

ほぼ剪定が出来ないハサミを誕生させた事がある。


電工ナイフも失敗した。このナイフは主に配線の被服を剥く為に使うのだが

鋭角に砥いでしまうと中の配線まで切断してしまう。おおよその理想

角度は45度以上である。それをおっさんはいつもの変なテンションで

一晩かけて、28度くらいに仕上げた事がある。


出刃包丁も最初の頃、失敗した。シャケを三枚に卸そうとして、まず研いだ。

今から思えば、何切るんだ? と思うくらいキレッキレの状態にした。

魚を卸した事がある方は分かると思うが、腹背背腹の順で骨に沿わせて刃を

入れていく。当時、技術面で拙いおっさんもその位は知っていた。
 
所がだ、骨に沿わない。

沿わないどころかシャケの太い骨をことごとく切断してしまい変なシャケの

オブジェを誕生させた事がある。 料理人や魚屋さんの様な技術がある方々

ならおそらく、この包丁でもうまく捌けたと思うが、おっさんの様な素人が

少しの角度ミスも許容しないキレッキレの刃を扱うのは無理があったのだ。

刃はある程度、骨の上を引っかからず、滑る位の角度にしないと駄目なのだ。

以来、出刃の刃付けはかなり鈍角に砥ぐようになった。


刃物を研ぐ時、まず何をどう切るか考える事や、一見シンプルな構造に秘めた

作り手の設計思想を理解しながら砥ぐ事は重要な事である。例えば、

何故砥ぎ戻しが必要なのか、何故、和包丁の切刃の”ひねり”が有るのか?

全て切る対象にその答えがあると思う。 ここで理由は記さない。

おっさんが、そうだった様に沢山失敗しながら、気づく事は大切な財産に

なると思うからである。



      岩魚岩男

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